0924THE ORGANICS #02『化学物質過敏症 』

THE ORGANICS by ethical living
“気をつけるという意識 -Awareness that careful-“

「 THE ORGANICS by ethical living」とは「体にいいものでつながろう -The Circle Of Good Things For The Body-」をテーマに、衣・食・住 において、健康的で地球環境にも優しいライフスタイルを提案していくコーナーです。

第2回目は “化学物質過敏症
-Multiple Chemical Sensitivity-“ です。

あなたは「化学物質過敏症」をご存知ですか?

化学物質過敏症とは体が様々な化学物質に過敏に反応し、めまい、頭痛、吐き気、かゆみなどの症状が出ることを言います。この化学物質を大量に吸収したり接触した場合や、少量でも長い時間吸収したり接触した場合に発症するとされています。化学物質過敏症は誰でも発症する可能性があり、花粉症のようにある時突然に発症するような病気です。花粉症の方はわかると思うのですが、ある日、突然発症したのではないでしょうか。
化学物質過敏症は発症後に原因が判らず症状が悪化することはありますが、発症前に自覚症状が出るわけではありません。そのため自分では気付かないうちに化学物質を吸収、蓄積され花粉症のように突然発症し、めまい、頭痛、吐き気、かゆみなどの症状が出るケースがあります。
そして現在、化学物質過敏症の可能性が高い人たちが日本全国で約70万人いると言われています。その数は年々増加しています。

ではこの化学物質があなたにもたらす影響をお話ししたいと思います。

生活環境による影響
①シックハウス症候群
一度は耳にされたことはあると思います。シックスクール症候群とも呼ばれます。
この原因は建築建材の合板やクロス、家具などに使用される接着剤、キッチンや浴室、家具などに使用される塗料、シロアリ駆除剤の防蟻剤などに含まれる「ホルムアルデヒド」とされています。このホルムアルデヒドは数年前から新築住宅での使用を制限されるようになりましたが、禁止物質の代替え品が次々と製品に使われており、毒性は若干弱くなっていますが実際のところ制限による効果はほとんどありません。
住宅建材で使用を制限されている化学物質はわずか10種類ですが、生態に有害な化学物質は数万種類あると言われています。
そして近年の住宅が機密性の高い(隙間のない)住宅となったこともシックハウス症候群が増加している要因です。
昔からの工法である木造軸組工法は壁の中などにごく僅かな隙間風が入る家(湿気を除去するため)が当たり前でしたが、近年普及した2×4工法やプレハブ工法、軽量鉄骨工法などは高気密住宅のため、窓を開けないと空気が通りません。冷暖房費が安くなるという面ではいいのですが、、、。

②日常生活での化学物質の吸収
日常生活の中でもたくさんの化学物質を吸収しています。
・野菜や果物に含まれている農薬
・加工食品などに含まれている保存料や着色料
・スプレー式殺虫剤や蚊取り線香、蚊取りマット
・洗濯用や食器用の合成洗剤、柔軟剤、漂白剤
・トイレなどで使用される芳香剤や消臭剤
・押入れやクローゼット内の防虫剤
・住宅建材や家具、家電に含まれている接着剤や塗料
・石油ストーブやファンヒーター使用時に発生する一酸化炭素
・衣類に含まれる染料や漂白剤、カーテンに含まれる防火剤
・書類や雑誌、新聞に含まれている塗料やプリンター印刷時に排出される塗料
・化粧品や香水、整髪料、パーマ液
・シャンプー、リンス、毛染め液
・食料品保存用ラップ
・水道水やプールの水に含まれる塩素
・シロアリ駆除の防蟻剤
・車の内部に使用されている接着剤など
・タバコの煙
・排気ガス、工場からの排煙
・一般家庭でのゴミ焼却から排出されているダイオキシンなど
・ヘリコプターからの農薬空中散布
もし上記の中で一つでも不快と感じる物資があるようならば将来化学物質過敏症を発症する可能性があります。

③職場環境などによる化学物質の慢性的な吸収
下記のような職場環境、住環境の方も化学物質過敏症を発症する可能性があります。
・住宅などの建築現場で働く人
・農業に従事し農薬を散布する人
・化学物質工場などで働く人
・研究施設などで化学物質を扱う人
・交通量の非常に多い道路周辺で働く人、住んでいる人
・工場排煙の多い地域で働く人、住んでいる人
・家具販売店など化学物質の多く含まれる製品を販売するお店で働く人
化学物質を吸収する時間が長いほど、化学物質過敏症を発症しやすいので上記に関係する人は注意が必要です。

④親からの化学物質の遺伝(移行)
化学物質は親からも遺伝(移行)します。アトピー性皮膚炎は生後間もない赤ちゃんでも発症します。この原因は親からの遺伝が大きいとされています。あるいは化学物質により影響を受けた遺伝子による影響なのかもしれません。アトピー性皮膚炎などの病気の原因は化学物質であることは多くの科学者からも指摘されています。

⑤化学物質による精子や卵子への影響
化学物質過敏症は赤ちゃんから発症するようなことはまだないと思いますが、少なからず両親の精子と卵子に化学物質による影響がある可能性が昔より高いことは事実です。
精子の数が急激に減っていることや、流産の割合の増加、生理不順の増加などが精子と卵子への化学物質による影響を証明しています。精子の数は50年前と比べ約半分になっていると言われています。またその数値は1990年以降に大きく減少しています。さらに精子の数だけではなく運動機能の低下や異常精子の増加などもあります。
これは環境ホルモンによる影響と言われており、その原因を作っているのが化学物質です。
日常生活の中で知らない間にたくさんの化学物質を吸収しています。これが本人には影響がないように見えても体の中に確実に蓄積され、その結果、精子や卵子などへも影響しています。

⑥化学物質の子供たちへの影響
私は昭和45年(1970年)生まれですが、その当時はおそらく化学物質の親の精子や卵子への影響はなかったと思います。そのため化学物質過敏症や花粉症などを発症するにはゼロからのスタートでした。しかし近年生まれてくる子供たちは生まれた時から(化学物質を全く吸収していなくても)親からの影響によりプラスからのスタートになります。そして更に現在のように化学物質が充満した中での日常生活により、今まで以上に早く化学物質過敏症などを発症する恐れがあります。このような事実が近年のアトピー性皮膚炎の増加や花粉症の低年齢化につながっています。化学物質の吸収は決してあなただけの問題ではありません。一緒に暮らす家族やあなたの子孫へも影響するのです。少しでも吸収しないようにする努力が重要です。

以上のような化学物質が、あなたやあなたの愛する人たちにもたらす影響をまずは知っておくこと、それが気を付けるという意識への第一歩につながります。
身の回りをよく観察し、このような化学物質から身を守ることをぜひ一度考えてみてください。

健康的で地球環境にも優しいライフスタイルがエシカルリビングにつながっていきます、、、